第二回:写真のヤマグチ店主 山口 哲さん

 

『店主に聞く!』第二回目の店主は、写真のヤマグチ 2代目ご主人 山口 哲さんです。
奥様の時子さんと看板猫の福子ちゃんにもご参加頂きました。

『東京時代』

本日は宜しくお願い致します。 まず、創業はいつ頃でしょうか?

昭和の・・・30年くらいかな?
お父さんが始めてね、僕で2代目。

 

という事は、山口さんは産まれた時からカメラや写真に囲まれていたのでしょうか?

そうだね。子供の頃は、店を閉めた8時とか9時過ぎから2時間くらいかな、
一家総出で毎日、現像と焼き付けをしてたんだよ。

それでは、自然と家業を継ぐというような流れで?

いや、全然そうじゃないよ。ウチでやってるそういう作業を見てて「これをやりたい!」っていう
気持ちは全く無かったね。
でも、反発っていうかね、ずっと(親の仕事を)見て来て、違う世界を見たかったんだよね。
で、18(歳)とかその頃になると、「東京に行ってみたい」とかいう気持ちが出て来て
東京の芸大とか受験したり。
でも、いきなり浪人しちゃって(笑) 3浪くらいしたかな。3浪したら飽きちゃってね、結局。

 

(一同 笑)

それで、芸大は諦めて『節モードセミナー』っていう所に入ってね。寺子屋なんだよね。絵の寺子屋。
長沢節っていうイラストレーターなんだけど、ちょっと変わった人で学校もかなり自由でね。
だから変わった人が集まって来てて、樹木希林さんとか唐十郎さんとか、とにかく変わり者が
集まる学校だったの。
そこで5年くらい居るうちにデザイン事務所で洋服のスタイル画のデッサンを描くアルバイトを
始めたの。そこで、アルバイトなのに原宿のお店の洋服を任されたりね、あの頃は楽しかったね。
でも結局、その店が資金不足で難しくなってきて、どうしようかなって思ってる時に
丁度ウチの親が「今、もう一件店を建ててる」って言って来て、「誰がやるの?」って言ったら
「お前がやるしかない」って強制的な話で(笑)
ま、会社も下火になってるし、「いいか」って感じになってこっちに帰って来た。

 

帰って来られた時は、おいくつだったんですか?
28歳。そこからなんだよね、写真屋としては。
今50だから、22年だね。

そうすると、写真屋さんになるっていうのは、あまり乗り気ではなかったんでしょうか?
・・・って、こんな事書いちゃいけませんよね(笑)

 

いやいや、いいよ。だって、まさにそうだもん。元々、嫌で家を出たわけだからね。

 

でも、お話を伺っているとサブカルチャー的な事とか、デザイン学校などのアート的な部分は
今の山口さんからも滲み出てますよね。

『撮る人と撮られる人との関係性』

次に、お店のモットーをお聞きしたいのですが。

“モットー”なんてものは無いけど、あえて言うなら“正直な商売”かな。
お客様もこちらも「気持ちがいいね」ってなったら一番良いんじゃないかな。
とにかく「常にいい写真を撮ろう」っていうのは心掛けてるよね。
お客さんとの関係性っていうのは大事だね。

 

ウチのお隣の糸美屋さんから、着物の撮影のお客様のご紹介を受けたりもあるし。
そういう関係性っていうのも大事ですよね。

 

はい。
ウチも、メイクとかヘアメイクとか、撮影とか、全部まとめてやらないんですか?って
聞かれる事もありますけど、それは専門店にお任せしたほうがより“深い”ものになると
思うんですよ。

そうだよね。“深い”って、まさにそうだね。

 

最近よくある『子供写真館』みたいなのあるじゃないですか。
ああいう所には無い“何か”がヤマグチさんにはありますよね。

でもウチもね、「そういう感じで撮ってほしい」っていう要望もあるんだよ。

ああいう所は、アルバイトや社員の子がデジカメで何百枚も撮った中から「良い一枚を」って
いう感じにやってたりもするから。
ウチも、スナップコースではデジカメを使うけど、ポートレートに関しては大型のカメラを使って
一球入魂じゃないけど、「この一枚!」って感じで昔ながらのやり方をしてるからね。

小さい子供でも、最近流行りの『なんとか子供写真館』みたいな所できらびやかな衣裳を着させられて
パシャパシャって撮られるよりも、こういう昔ながらの写真屋さんで、ある程度の緊張感を持ちながら
かしこまって撮られたほうが、ずっと記憶に残ると思います。
アメリカとかヨーロッパの古い家族写真とかを見ると、全然良いんだよね。
「手にアレ持ってコレ持って」とかじゃ無く、ただ“ポン”と立ってるだけ。
なのに、“ズシン”と伝わってくるものがあったりしてね。
写真って、その人の歴史を撮るんだから、撮る人と撮られる人との関係性っていうのは
やっぱり大事だよね。

『写真のヤマグチっぽい』

数年前に僕の結婚式で山口さんにカメラマンをお願いしたのですが
(インタビュアーは、INMYLIFE potemkineの松本です)、これが本当に良かったんですよ。
来て頂いた方々の写真も「この人のこんな笑顔見た事無いな」っていうのが
いっぱいあって。とにかく出来上がった写真がどれも良かったんです。

そう言ってもらえると嬉しいね。

結婚式のカメラマンをやると、よく「写真屋さんが面白かった」って言われるね。
哲っちゃんの雰囲気で皆がニコって笑ったり、お客さんは喜んでくれるね。

きっと山口さんのお人柄がにじみ出てて、撮られるほうにも伝わるからこそ
笑顔になるんだと思うんですよね。

変な話、その結婚式の2年後に伯父さんが亡くなったのですが、遺影はその時の山口さんに
撮って頂いた写真だったんです。とてもいい笑顔の写真で。
それだけでもなんだか良かったなあ、と思うんです。

そういうのを聞くと、やりがいがある仕事だな、と思うよねえ。

最後に、今後の目標みたいなものがありましたら。

 

写真のヤマグチっぽいって事を大事にしたい。
小学生の頃から来てるお客さんが、成人されて久しぶりに来られたら
「うわー、懐かしいなー、変わってないなー。おじさんもおばさんも変わってない!」って
言われて、で、結婚されて子供さんも連れて来てくれて、「ここに来るとホッとするんです」
って言われると、ああ良かったなーと思います。
これが“写真のヤマグチっぽい”って事なのかな、と思うけど・・・。

今は、「絆」ってよく言われるけど、“撮られてる”“撮ってる”っていうのが
伝わる写真にしたいっていうか。
例えば、引っ越しとか掃除とかしてて、10年前に撮った写真がふと出て来たら、
「ふわぁー」ってその時が全部帰ってくるようなね、そういう写真が撮れるようにしたいな、と
思っています。

 

にゃー。
 

今は、写真やカメラに詳しく無くても、性能のいいデジカメで素人がそれなりに
見栄えの良い写真が撮れてしまう時代。
でも、こうしてお話を伺っていると「プロに撮ってもらいたい」、そう思えて来ます。
皆さんもたまには、少し緊張しつつプロの写真屋さんに写真を撮ってもらっては如何でしょうか?

本日はどうもありがとうございました。


【インタビュー・構成・撮影/松本純一(INMYLIFE potemkine) 協力/宮島一聡(糸美屋)】

 
写真のヤマグチ 勝川店

電話(0568)31-3415
愛知県春日井市旭町1丁目27−4
営業時間 AM 8:30-PM 7:00

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